その、眼差しの先。




「こいつらを門の向こうに帰す。
俺は、門を…壊さないといけない。
アル、お前もあの門を壊すんだ。
二度と…通路が開かないように。」

「ウィンリィを…どうするんだよぉ!」

「機械鎧(これ)、ありがとうって」

「兄さんっ!待って!にいさぁん!!!」

「アルフォンス!
待つんだ、アルフォンスっっ!!!!」


押さえ込んでいた少年の重さが無くなったのは一瞬のことだった。
彼にむけて伸ばしたこの手は空中を虚しくかいただけだった。
最後に見たのは二人の大きな決意を持った少年達の後ろ姿、
強い意思を持った眼差し。
彼らは行ってしまった。
あの門の向こう側へ。
こことは異なる世界へ。
彼らが為すべき事をするために。


ならば、私がこの世界でできることは何か。
彼らが守り、
大切な者たちを残したこの世界のために力の限り尽くすことだ。
彼らとの最後の約束を果たすために…。
彼らが向こうの世界で新たな旅立ちができるように。
こちら側のことを心配せずともすむように。
自分がなすべきことを。




ぱんっ!




布越しでも伝わってくる両の手と
頬の熱く痺れる様な感覚が今は心地よい。
これでいい。
今まで逃げていた私とはこれで決別だ。


目の前には2年前と何ら変わらない扉。
またここから私の戦いが始まる。

らしからず少し緊張して開けたその先で見たものは…


「遅いっスよ。なにしてたんスか」

「お待ちしていました、准将」

「こうなったら、どこまでもついていきますよ」

「またよろしくお願いします」


そして…



「おかえりなさい。」



そうだったな、
私には仲間がいる。
いつだって帰るべき場所はここだった。
だからこそ、再び戦うことができる。



「あぁ…ただいま。」





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他の人の絵から文章をおこすというか、
コラボ自体が今回が初めてだったのでとても緊張しながら書いた作品です。
先にとみみちゃんの漫画があったので、
とみみちゃんが作品を通して伝えたいことを崩すことなく文章にできるのかという不安もありつつ。
って自分から書いてもいい?と頼んでおきながら…なんですけどね(苦笑)
でも、そういういい緊張感の中で作品を作るというのもいい経験になったし、
何よりいつもは自分のために書いているので、
誰かのために書くというのが楽しかったです。
そして出来上がった作品を喜んでもらえた時のうれしさったらないですね。
とみみちゃんに感謝感謝。
ここには私のSSしか載せていませんが、
とみみちゃんのサイト「ぽぽんたの庭」では
とみみちゃんの素敵漫画と私のSSのコラボを見ることができますよー。
ぜひそちらへも足を運んでみてくださいね!